1:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 03:47:35.85 ID:
naV+Ot8y
綿毛が飛ぶまで待ってみようかな…なんて
5:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 03:55:17.22 ID:
naV+Ot8y
内野ゴロになり、僕は二塁に走りだした。三遊間の深いところだ。いける。
7:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 03:56:26.34 ID:
naV+Ot8y
スライディングの体勢に入った僕の視野に、黄色いものがチラっと入りこんだ。
11:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 03:57:39.58 ID:
naV+Ot8y
花だ。とっさに僕は低く出すはずの右足を上げ、二塁ベースを避けるような軌道ですべり込んだ。
14:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 03:59:49.85 ID:
naV+Ot8y
もちろん、塁近くにいた相手セカンドの選手も目に入っていたが、
なぜかその時は一瞬見えた花に心を奪われてしまっていた。
17:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:02:58.65 ID:
naV+Ot8y
予想しない体勢の僕のスライディングに驚いたセカンドは、急に体の向きを変えることができなかった。
関節の砕ける鈍い音が、僕のスパイクを通じて伝わってきた。
21:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:06:25.10 ID:
naV+Ot8y
絡まってうずくまっている僕たちの周りに、両チームのベンチから人が出てきた。
僕が立ち上り、ケガをしていないことがわかると、足首を押さえたまま動かないセカンドの方に視線が集まっているのがわかった。
22:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:07:37.64 ID:
naV+Ot8y
その時もまだ、僕の目には二塁ベース上に揺れる、一本のたんぽぽが映っていた。
27:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:12:46.72 ID:
naV+Ot8y
相手セカンドの最後の夏があの試合で終わったと同時に、僕にも即交代が告げられ、二度と野球をすることはなかった。
28:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:15:21.46 ID:
naV+Ot8y
相手チームからの敵意のこもった目、そして味方チームからは怒りよりむしろ何やってんだという不可解な眼差しを受けながらベンチに下がった。
ベンチに下がって見ると、塁上の花は黄色ではなく、白く見えた。
38:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:23:12.01 ID:
naV+Ot8y
「誰があんなプレーしろっつったんだよオラァ!あいつ二度と走れなくなったらどうすんだよオイ!聞いてんのか!」
怒鳴る監督の声は、僕の耳に届いていたし、ベンチのチームメイトの冷ややかな視線にも気づいていた。
でも、僕の心はどこにもなかった。次に塁上を見たとき、あの花があるのかどうか、まだ花の形を保っているかだけがあった。
40:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:27:18.58 ID:
naV+Ot8y
「何よそ見してんだこのバカ野郎…」後ろから蹴られ、つんのめった。
倒れ込んだ僕の視線の先に、花はたしかにあった。それに、小さな綿毛の一つ一つが散っていくところが、はっきり見えた。
45:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:31:12.96 ID:
naV+Ot8y
のろのろと立ち上がり、僕はベンチを出た。誰も止めなかった。
正確には、誰も止めなかったのだろう。何も見えなかったし、聞えなかった。
47:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:33:44.93 ID:
naV+Ot8y
気がつくと、東の空から明るくなり始めていた。
48:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:34:53.40 ID:
naV+Ot8y
短い夢が覚めると、とたんに足先の痛みと不快感が襲ってきた。
湿った塹壕の中で、僕はもう何日もブーツを脱いでいない。
53:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:37:21.07 ID:
naV+Ot8y
数日前から、しびれを切らした数マイル向こうの敵陣からの反撃が予想されていた。
威力偵察に出た将校斥候隊はとうとう帰ってこなかったらしい。
58:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:41:41.87 ID:
naV+Ot8y
こういう悪いニュースだけは絶対に確実なのだと、戦線に出てすぐ僕は知った。
しかしこの状況下では、むしろ打開的なほうが好ましかった。
翌朝目覚めることがないかもしれないという圧迫には、そう長く絶えられるものではない。
57:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:40:05.29 ID:upqR+bQ9
4:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 03:52:39.70 ID:4bKQPA3p
すてき
13:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 03:59:27.82 ID:dvXHnJgq
>>1ちゃんカワイイ
16:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:02:18.21 ID:+gHpTLo9
これは深夜の謎テンションですわ
素敵やん
19:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:04:32.49 ID:eI6CTPma
ポエムスレと見せかけて殺人野球の畜生じゃねえか
25:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:09:55.73 ID:u/UuHOKA
阪神園芸は何やっとるんや
41:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:27:30.64 ID:2SWT93Fk
はっきり言って今のなんJは詩的だ
42:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:27:45.00 ID:UNaQZ5yA
なんJの闇
49:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:34:59.94 ID:upqR+bQ9
小説家になろうに投稿しよう(提案)
55:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:39:25.27 ID:T8/QaYIm
wwwwww????WWWW!!????wwWWWW
56:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:39:49.95 ID:LtdGWe2f
なんやこれ…
43:
風吹けば名無し[]:2013/02/03(日) 04:28:42.78 ID:7eFPWFWV
なぜか助っ人外国人で再生された
セカンドベース上にたんぽぽの花が咲いていたら
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1359830855/
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シッモ、食べる
なんやこのセンスは・・・
これすきー
なんJ文藝部
球哲ホセ。
ttp://hissi.org/read.php/livejupiter/20130203/bmFWK090OHk.html
なんやこいつ・・・
稀になんJに沸く謎の鬼才すき
なんやこれ…スッと読んでもうたwww
オリックス対西武かと思った
村上春樹の訳したティム・オブライエンみたいな文章
優しい主人公やな → ファッ!?殺人スライディング!? → ファッ!?戦争!?
え、ないこれは(小学生並みの感想)
マイルってどこのだれの話だよ
戦時中の高校球児かなんかやろ(適当)
唐突な塹壕で草不可避
あらかわE(ホッコリ)からの殺人スライディングwww
溢れる才能
このスレ立てたのを境に1ちゃんが一介の名無しから鬼才に変貌を遂げてて草不可避
もっかいアメリカの高校野球を想像して読むとまた違った味わいでいいなと思った(小並感)
ポエムから青春小説になっていつの間にか戦争ものに。
無駄に描写が細かいだけに得も言われぬ恐怖が
開いて良かった
ちょっと才能を感じちゃったよ
(素直に感動しちゃ)いかんのか?
教科書にのってそうな文章やな
お、西部戦線異状なし(レマルク)か?
平和に野球ができる喜びを感じさせる歴史的名文
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